日本学術会議への人事介入に抗議する

日本科学者会議大阪支部幹事会
 
菅首相が、日本学術会議の選考委員会の議を経て推薦された次期会員候補105人のうち6人に対し、理由も示さず任命を拒否したことに強く抗議します。

 

会員候補の選考は会議法17条により「日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するもの」とされています。26条には会員の免職の規定も示されており、任命の実質的権限は日本学術会議に属し、政府には「選択」することも「監督権」もなく、介入する余地はありません。


「総理大臣による任命は形式的任命であり、日本学術会議の推薦をそのまま任命する」ことはこれまで何度も国会で確認されています。
日本学術会議は行政機関ですが、政府に勧告、提言する機能が与えられた独立性の高い自立した機関です。


6氏が任命されなかった理由は開示されていません。推薦を拒否することができるほどの理由があるとするなら、その基準こそ明示すべきです。拒否の理由が会議法に定める選考基準以外にあるとするなら、研究の成果に基づいた研究者の見解に政府が断を下すことであり、憲法23条に保障された学問の自由を侵害することになります。


今回の任命拒否は、多様で自由な発想や研究による学問の自由に制約を加え、日本の学問の全ての分野に重大な影響を及ぼすだけでなく、広く言論の自由や表現の自由にも制約、萎縮、忖度という悪影響を広げる可能性を持つものであり、決して看過できません。


日本科学者会議大阪支部幹事会は、政府による学術会議会員人事への介入に強く抗議し、日本学術会議が提出した「第25期新会員任命に関する要望書」に記された2点の要望を支持することを表明します。