自然エネルギー講座から

大阪・京橋から京阪電車に乗って枚方駅を過ぎると、淀川の向こうから高圧電線が下りてくるのがみられる。それは福井県若狭にある原子力発電所からきていて、私の住んでいる交野市の山麓にある変電所に連なっている。現在は高浜、大飯両発電所で2基ずつ稼働していて、関西電力のベースロード電源の主力をなしている。

今回の講座は速水二郎先生の「送電線の仕組 みと日本の現状」であった。

国内の電源は9電力会社により地域分割されて供給されている。全国にスムーズに電力を供給するためには送電線網の整備が必要であり、特に地域間の連携部の容量を大きくし、50、60サイクル変換設備も強化されなければならない。
太陽光発電は九州と北海道で急成長をしているが、需要の大きい本州への送電を強化して、太陽光発電の一時停止や地域全体の停電を避けなければならない。

福島原発事故により原発の危険性が厳しく追及された。一方、世界的に再生可能エネルギーが、その安全性と環境負荷の少なさが評価されて、開発が進んでいる。再生可能エネルギーの開発が大きく遅れている日本もこれに追随せざるをえず、今の電力会社を送電系と発電系に分割する政策が、来年には実施される。

送電線の電力ロスも話題になった。全国で融通できるには電力網も整備されなければならないが、電気はなるべく狭い地域で発電と消費が行われることが望ましい。その点、送電線の要らない住宅用太陽光発電は蓄電池の開発が急務としても、手近に市民が着手できる送電線対策である。

日本科学者会議会員(点在) 中山行穂