環境モデル都市生駒市の見学会に参加して

田淵武夫(富田林の自然を守る会代表)

 

原発ゼロの会・エネルギー部会主催の表記の見学会に参加した。最初に生駒市環境モデル都市推進課の方から「環境モデル地区“いこま”の取り組み」についての説明を受けた。


生駒市は2014年3月に「市民力」をキーワードとした取り組みが評価され、国から環境モデル地区に指定された。2017年には自治体新電力「いこま市民パワー株式会社」を設立、小学校など市の6施設、市民協働太陽光発電所4基、浄水場の小水力発電、(株)グリンパワー大東の木質バイオマス発電所、不足分は大阪ガスから合計約28,000MWhの電力を調達し、市内の83施設(公共施設61、民間事業者22)に供給している。今後の展開は「一般家庭5,000世帯へ規模拡大」「卒FIT電源の積極的な買取など再エネ電源の拡大」「地域内のエネルギーマネージメントを総合的に行うアグリゲーターとしての役割」など「日本版シュタットベルケモデル」の構築を目指す。また、太陽光発電や家庭用蓄電池システム設置などへの補助事業も実施しているとのことである。


この後、汚泥と有機性廃棄物処理で発生するメタンガスで発電し、残渣から肥料を生産するシステムの施設「エコパーク21」と水道調整池からの落差を利用する小水力発電施設を持つ山崎浄水場を見学した。
市の職員の方々は自信をもって生き生きとこの仕事に取り組んでおられると感じた。近年、異常気象による災害の多発など深刻な事態が続いており自然エネルギーへの転換は待ったなしの状態である。そしてエネルギーの地産地消は今後の大きな課題である。生駒市の取り組みは全体の必要性の中では微々たるものであろうが、ほとんどの自治体で手が付けられていないことを考えると大きな意義を持っていると思われる。多くの自治体でこのような取り組みが進むことが望まれ、私たち市民が自分の住む自治体に働きかけ、「市民力」を発揮することが必要と思う。


私は富田林市で自然保護、なかでも里山保全を中心に活動している。自然保護では生物多様性の保全がとりわけ重要とされている。温暖化は地域の自然生態系に大きく影響するなど生物多様性と地球温暖化は密接に関連しておりその対策は車の両輪である。生駒にはないとのことだが、富田林の近隣を歩いていると山林を切り開いたメガソーラー施設に出会うことがある。自然エネルギーの普及と自然保護が両立する取り組みが必要と考える。