大阪市をなくしてはいけない 自治権のある大阪市だからこそ守ることができる暮らしと未来

2020年10月10日 日本科学者会議 大阪支部幹事会

11月1日を投票日とする住民投票が始まります。日本科学者会議大阪支部幹事会は大阪市民の皆さんに、必ず投票に行って、「反対」票を投票することを呼びかけます。


科学者会議には人文・社会・自然科学のすべての分野の科学者(研究者・教育者・技術者・弁護士・医師・大学院生など)が参加し、協力し合って、様々な問題の解明と解決に取り組んでいます。


今回行われる住民投票は、「特別区設置協定書」に基づく「大阪市の廃止と4分割」の是非を問う選挙です。「大阪市廃止4分割」については、既に130人を超える行政学、政治学、法律学、社会学、地方財政学、都市経済学、都市計画学等、防災学、公衆衛生学、教育学、環境学、都市交通学など様々な学術領域の研究者から、大阪市民の暮らしや都市の在り方に直結する様々な「危険性」が、数多く指摘されています。


何よりもまず、「都構想」「副首都」という虚構の上に描かれた科学的根拠のないバラ色の未来という印象操作が市民の選択を誤らせる危険性を指摘しなければなりません。


仮に賛成多数となっても「大阪都」はできません。大阪府のままです。そして政令指定都市の大阪市が、自治権も課税自主権もない4つの特別区に分けられてしまいます。二度と再び政令指定都市に戻すことができません。


現在の大阪市の税収の約70%超が府税として大阪府にとられます。調整交付金が府から特別区に渡されますが、20数%は府に残されます。現在より20数%少ない財政の下で、特別区は調整交付金の取り合いを毎年繰り返すことになります。現在ある大阪市独自のサービスをはじめ、福祉、教育、医療、中小企業支援など、住民サービスの継続が困難になる危険性は明白です。


都市計画、港湾、交通・インフラ、産業政策、高等学校・大学、観光・文化・スポーツ振興など、都市として発展するための行政権限・基盤はすべて大阪府に奪われ、特別区には決定権がなくなります。


だからこそ、政令指定都市を廃止し特別区にする住民投票を行う際には、税収や権限の縮小による制限や制約(デメリット)も説明することが義務付けられています。しかし、説明会は8回しか行われず、しかもマルチ商法まがいと感想が出るほどのメリット一点張りの説明しかされていません。メリットのみの広報で市民を誘導する違法が行われている状況下で、どんなに投票率が低くても「賛成」が一票でも多ければ大阪市が廃止される危険性があります。


市民の意思を行政に反映させ、行政と力を合わせて福祉の増進を図るには、自治権と自主財源、決定権が必要です。「大阪市廃止」になれば、その全てがなくなり暮らしと未来に大きな困難がもたらされます。


いま賛成と思っている方、よくわからない方、迷っている方、「大阪市をなくしてはいけない」の思いを一つに、必ず投票に行って、大阪市廃止分割に「反対」の票を入れましょう。暮らしと未来を守りましょう。