気候ネットワーク主催「気候市民サミット in 京都」の報告

1. IPCCが10月8日に公表した1.5°C特別報告書の内容(国立環境研究所の江守正多氏が講演)
特別報告書は、「1.5°Cの上昇でも熱波・干ばつ・洪水の被害が増え、海水面の上昇などの影響が現れ、2°C上がると、更に深刻になり、社会や経済に深刻な打撃を与える。現状のままであれば、産業革命後既に約1°C上昇しているので、早ければ2030年には1.5°Cに達する。これを抑制するには、2030年までに世界のCO2排出量を2010年より約45%削減し、2050年頃に実質ゼロ(自然エネルギーが70~85%、石炭火力発電はゼロ)にする。パリ協定で各国が表明した削減目標では達成できないので、大胆に見直し実行すべきである」と強調している。

2. 世界と日本における石炭火力発電の動向(主 催者代表の浅岡美恵氏が講演)
昨年のCOP23で設立された脱石炭発電連合に加盟した国(ベルギー、フランス、スウェーデン、英国、オーストリア、イタリアなど)は、脱石炭の目標年を定めて強力に推進している。中国も、2017年の石炭火力発電をピーク時の2007年の半分以下に減らしている。また、CO2排出量の削減や石炭火力発電所の建設差止めを求める訴訟がオランダやアメリカなどで多数提起されている。しかし、日本は、2012年以降で国内に50基、インドや東南アジアに25基の石炭火力発電所を建設しようと計画している。外国から少な過ぎると批判されている2030年の削減目標さえ達成できそうにない。

3. 石炭火力発電所の建設稼働に反対している日本の市民活動(各地のリーダーが講演)
仙台パワーステーション(11.2万 kW)の稼働差止め訴訟に続き、神戸製鋼の石炭火力発電所(65万 kWx2基)の建設稼働差止め訴訟が提起されている。東京湾岸では、JERA(東京電力、中部電力)が横須賀に、千葉パワー(中国電力、JFEスチール)が蘇我に、千葉袖ヶ浦エナジー(東京ガス、九州電力、出光興産)が袖ヶ浦に、それぞれ100万 kW超の石炭火力発電所を建設しようと計画している。反対運動が展開されているが、市民の関心を高めることが共通の課題である。

4. 日本電気協会によって設定されている火力発 電設備の耐震基準(追加報告)
火力発電設備の耐震基準は、電力10社等で構成された日本電気協会によって震度5以上と設定されている。9月6日の北海道胆振東部地震によって、苫東厚真石炭火力発電所は、震度6弱に襲われ、一部の設備が損傷・出火して9月19日 以降の運転再開となった。発電設備の耐震性が震度5相当しかなかったため、震度6弱に耐えられるはずがなかった。10月 25日付けの経済産業省の資料によれば、今回も耐震基準を見直さないようである。極めて不可解なことである。

討論
★ヨーロッパでは 2003年熱波による死者が2~3万人にも達した。これが脱炭素への転換点となった。
★地球温暖化により熱波、干ばつ、洪水、海水面の上昇が危惧される。
★PM2.5の環境基準はあるが、排出基準も排出量の公表義務もない。
★自然エネルギー100%を目指す国や地域が多数現われた。

これからの日程
2018年12月23日(日)13時~15時 松浦武四郎とアイヌ民族
2019年1月13日(日) 未定