関西懇5月例会報告 人間とは「われわれはどこからきたのか」

ヒトゲノムの解読が進んで、今まで私たちの祖先ホモ・サピエンスと交雑がなかったといわれていたネアンデルタール人やシベリア南部で発見されたデニソワ人とも交雑が認められた。


ネアンデルタール人はホモ・サピエンスより、8万年も早くアフリカ大陸を出てヨーロッパに広がった。

 

彼の脳は1400㏄と大きかったが、ホモ・サピエンスに比べて大脳に対する小脳の割合が0.8%程小さかった。ヒトの脳の大きさの急速な拡大は、200万年前の頃で言語機能が発達したためと考える人と、集団の大きさが脳の拡大に影響したという説がある。

 

ネアンデルタール人の喉頭はホモ・サピエンスと比べて、舌を咽頭に引っ込めにくい構造になっている。そのため母音が発音しにくく、会話がホモ・サピエンスほど豊かでなかったと考えられている。

 

集団生活をするようになると、コミュニケーションが必要になる。コミュニケーションには共感力や、相手の心を理解することが必要になる。「分かち合う心」を持つようにヒトは進化してきた。


思いやる、慈しむ、分かち合うことで、ヒトという集団は生き残ってきた。心に愛をもつように進化してきた。しかしヒトは想像力を得たことで、負の側面として嫉妬や妬みも生まれた。


人間の住む環境では、社会的な種でいることに価値がある。社会的な動物だからこそ、共感能力を研ぎ澄まし、非協力な人間を排除するような仕組みが備わった。人間の対立は、他の動物の対立に比べずっと致命的である。