日韓問題 文化・学術交流の視点から


日韓関係は急激に悪化し、連日のようにマスコミで報道されています。

 そもそもの始まりである徴用工問題は、2018年10月30日、韓国の最高裁にあたる大法院が差し戻し審で新日本製鉄(現新日鉄住金)に対し韓国人4人へ1人あたり1億ウォン(約1000万円)の損害賠償を命じた。
 その後、昨年12月20日、能登半島沖の日本海において韓国海軍の駆逐艦が、海上自衛隊のP-1哨戒機に対して火器管制レーダーを照射したと日本政府が抗議した。これに対して韓国側はレーダー照射を認めず、自衛隊機が威嚇的に接近したと主張。異常に感じたのは、マスコミがこの報道を、両者の対立を煽るかのように一日中流し続けたことです。
 安倍内閣が徴用工判決に対する対抗処置として、2019年8月2日、輸出手続きを簡略化できる「ホワイト国」(輸出優遇国)のリストから韓国を外す政令改正を閣議決定しました。
 8月3日には、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止された。この中には、従軍慰安婦像(平和の少女像)が含まれます。河村名古屋市長の作品撤去・中止発言、さらに、菅義偉官房長官の「補助金交付の決定にあたっては、事実関係を確認、精査して適切に対応したい」といった会見発言が続きます。
 このホワイト国除外に対抗して、韓国政府は8月22日に日本との「軍事情報包括保護協定」GSOMIAの破棄を決めています。

 

この間の流れをみると、韓国政府にもGSOMIA廃棄、竹島軍事演習などいくつかの対立をあおるような行動があるが、我が日本の政府は日韓関係の問題を外交交渉で平和的に解決する方向ではなく、意図的に対立する方向に持って行っているように見えます。自衛隊の軍事予算増強、憲法9条改訂が背後に見えます。こうした中で、哲研では二つの講演会を企画しました。私たちは日韓関係の問題に対して、何をしたらよいかを一緒に考えたいというのが、ねらいです。政府間の政治的対立をなくすために、民間の交流を深めることが今は必要。私たちがリードできる、文化・学術交流があると思います。

河野 仁(哲学研究会)


10月9日(水)

講演者:石川康宏さん(神戸女学院大学)
「学生と学ぶ『慰安婦』問題・原発問題」
午後6時から国労大阪会館石川先生はゼミの学生と一緒に、フィールドワークとして韓国の「日本軍『慰安婦』歴史館」を訪れ、その体験を学生自らが発表、講演を行い、書籍を出版するという、あっと驚くような事をされています。石川研究室でのユニークな教育研究活動をお話していただき、若者が主権者として目覚めるために、私達はどう行動したら良いか、一緒に考えたい。

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11月11日(月)

講演者:北泊謙太郎さん(大阪大学)
「近代の日朝関係と「日本人」意識の成立:日韓歴史認識問題の起源」
午後6時から国労大阪会館
最近の日韓の問題を、歴史的視点からお話しいただきます。